2014年11月20日木曜日

シグルイ文庫版読んでる



アスキーアート界でも大人気、『シグルイ』文庫版第6巻にございます。この巻で"加減しろ莫迦"のコマが出て参ります。

今回は御前試合が近づく様子が忠長、伊良子、そして藤木とその周辺の様子から描かれています。様々な角度からこれから始まる御前試合が空前絶後のものになるだろうという雰囲気が漂ってくる様の描写はさすがの緊張感です。

また、藤木が城勤めは到底無理な性分であること、何より本人にその気が全くないことが執拗に描かれています。
仇討ちに敗れたものの自刃が許されず、しかしそのことを世間も認めません。藤木らはいわば"人以下の存在"に成り下がります。
藤木の存在意義はここで伊良子を殺すことのみになります。倒すじゃなくて殺す。読者は「仮に伊良子を殺したとして、そのあと藤木はどうなる」か、全く想像がつかないでしょう。よくて自刃でしょうか。
目前の御前試合以外に藤木の存在価値がないことがひしひしと伝わってきます。

個人という概念や自分らしさといったものは割と新しい考え方で、そういったものをこの作品に持ち込むと理解しづらくなるという意見をどこかで読みました。
確かに登場人物が置かれた状況を察するのにその意見は有用ですが、何度も眉をひそめられる藤木はやはり作品世界に於いても充分狂気の塊でしょう。

次巻にて決着、なんとも楽しみです。

0 件のコメント:

コメントを投稿