SNSでもそれは同じで自らの内面はある程度デコレートされるはずです。そのままリリースしてしまうとブリーフ一丁で外をほっつき歩いているみたいで恥ずかしいことになります。
それは良いことなのでしょうか。"ほんとのワタシ"が見えづらくなるからコミュニケーションしづらくなるでしょうか。
いえ、デコレートの仕方にこそ"ほんとのワタシ"が宿るはずです。
以下はhttp://www.mag2.com/m/0001148694.htmlより転載しました。
『ファッションとSNSの進化は共通している』
ファッションは進化する。
『理由なき反抗』でジェームズ・ディーンがジーンズとTシャツ姿で登場したとき、アメリカでは一大センセーションが巻き起こった。
当時、下着であるTシャツで登場したことが強烈だったのだ。
ファッションの歴史とは、前の時代では下着だったものを、アウターとして着てもOKになるという繰り返しだ。
「インナーはアウターへ」という方向に、常に進化が繰り返されている。
ヨーロッパの貴族が着用していた正装は、裾の長い「フロックコート」だった。からだ全体をすっぽり包んでしまうデザインだ。
このフロックコートでは馬に乗りにくい。というので改良されたのが、裾の前を短く、後ろを長くし、長い裾の真ん中にスリットをいれて動きやすくした「燕尾服」や「モーニングコート」だ。
今まで見えなかったズボンの前の部分や、ベストのあたりが、かなり見えてしまう。フロックコートから比べると、かなりお下品で露出高め。これも「インナーはアウターへ」という進化だ。
時代は流れ、結婚式などでは、今でも正装としてモーニングコートが着用されているが、もう日常生活で着られることはなくなった。
このモーニングコートのしっぽの部分を切り落とし、略式にしたのが、いわゆる背広。いまではスーツと呼ばれているデザインだ。
ビジネスシーンでの「ちゃんとした服装」として、重宝されている。これまた「インナーはアウターへ」という進化。
元を正せば、Yシャツというのも下着だから、本来見せるものではない。
近世ヨーロッパを舞台に撮り上げた『バリー・リンドン』という映画では、男性は長い上着を着て、襟と袖のはしから、ドレスシャツのフリルをのぞかせている。
現在のような、VゾーンからYシャツが見えているなど、ありえないスタイルだったのだ。もちろんTシャツなんて、もっとありえない
数年前、女の子のファッションで、キャミソールやビスチェを見せながら歩くというのが、流行ったことがある。
過激だとか世紀末という人もいたけど、決してそんなことはない。
ファッションの進化、「インナーはアウターへ」という進化の流れで考えれば、実に正しい。内側に着ているものを、外側に出してみせる、という方向に進んできたからだ。
と、ここまではファッションに興味のある人なら、だれでも知っている事実だ。
さて、ここで、SNSの進化の話をしたい。
SNSの進化を「自分自身のどんな部分をどう見せるか」という方向で考えると、ファッションの進化と同じものがあるように見える。
「インナーはアウターへ」という進化。
つまり、心の奥にかくしていたものをより外に見せる、という進化が、ここ数年間で繰り返されていると思うのだ。
個人用のSNSとは、最初はホームページだった。
お店が看板やメニューを見せるように、私はこういうことを考えています、ときちんと考えたものを整理してあげるのがホームページだった。更新だってめったにしなかった。
その一部に、ブログが組み込まれるようになった。
ブログとは日記だ。ホームページのように「まとまった考え」を書き起こす場所ではない。それよりも「毎日、思いついたこと」が書かれている日記がもてはやされるようになった。
ブログの時代がきて、日記や雑記のような「結論がないもの」を、毎日のごとく掲載するのが、当たり前になった。
次に来たのはmixiのようなソーシャルメディアの時代。まるで雑誌の連載のように、日記の一部や、グチを書き合うようになった。
Twitterの時代になり、思ったことを、思いついた時に、すばやくつぶやいて、シェアするようになった。
そしていまはLINEの時代だ。
つぶやきがスタンプにまで簡略化された。自分の心のなかに浮かんできた感情を、言語化しないまま画像として表すようになったのだ。
これは、ファッションの進化と同じだ。
前の時代では「人前にさらすものではない」「見せるなんて恥ずかしい」と考えていたものを、堂々と見せるようになる。
「心のインナーをアウターへ」という方向に進化を続けているのだ。
そういうふうに考えると、SNSの「次世代」には何がくるか、ぼんやりとした方向性の予想はつく。いま流行っているLINEよりも、さらに内面をそのまま出せるメディアになるのだろう。
自分の感情や衝動を、「スタンプ」などのイラスト処理で選ばなくても、さらに直接的に伝える方法。いったい何をさらけ出すようになるのか、具体的なものは、僕も想像がつかない。
だけど、おそらく最初は、「なぜネットでわざわざそんなこと?」と思うような「かる~いノリ」なんだろうな。
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