2023年1月15日日曜日

無になる瞬間を求めて

 『同志少女よ、敵を撃て』━━昨年いちばん売れた小説だそうで、確かに面白いです。

「お前も猟師だったなら覚えがないか。射撃の瞬間の境地。自分の内面は限りなく無に近づき、果てしない真空の中に自分だけがいるような気持ち。...」

「射撃の瞬間、自分は自由でいられる。...」

(同志少女よ、敵を撃てpp134-135)


 

 矢も盾もたまらず4:30amにクルマで外出しました。散歩もまた良いのですが、"空間に自分だけがいる"感覚を味わいたかったため、クルマをチョイスしました。石油が枯渇してドライブが贅沢になるかもしれない、といつも思います。20年後には目的もなくガソリンを消費していたことを想像できなくなるかもしれません。

 BGMはAMラジオを選択しました。BGMは無いのも乙ですが、自分に向かって放送されていない番組が心地よい時もあります。

 海でも見に行こうか、しかし曇っているし、など思案して高速道路へ。

 運転と射撃では状況は全く異なるでしょうけど、なんつうか、自身も「仕組み(この場合はクルマ)の一部になる」ことで煩悩を後退させることが出来る気がします。運転の中に自分が没入することで感覚が澄んでくる快感は、たしかにあります。

 無目的に燃料を使ってサービスエリアに行きました。予想と反してSAはもう起きていました。たくさんの高速バスが並んでいて、店も営業していました。昔はカップラーメンの自販機があるだけでありがたいと思ったものですが、どこもかしこもサービスが行き届いています。

 トーストを食べてコーヒーを飲んで一服して帰途に就きました。加速して本線に合流してさらに加速する。目的のICで降りてゲートを通過して停止し、信号を右折する。

 なんのことはないただの運転に興じた短い時間はやはり魅力的でした。夜の闇がまた非常によろしい。暗がりに心が引き込まれてしまいそうな錯覚を覚えて今日はもう一度寝ます。おやすみなさい。

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