2012年8月14日火曜日

HRKY 『MADWAZZ EP』



 フロム・福岡・トゥ・デトロイト。福岡発の新レーベル[MADWAZZ]からの第1弾。

 90年代のテクノをリアルに体験した、とあるのでパーティ歴は短くないかと思われます。レーベル名も四十代を指す「四十にして惑わず」から来ているとの事です。満を持しての登場でございます。

 試聴はこちらから。

 A1“FRAGMENT”はもう、デトロイティッシュ♡ シャープなシンセリフで経過時間と正比例してフロアのテンションを上げていく正統派テクノ・トラック。パーカッションのキレも良く、ここからどこへでも音を展開させる事が出来そうですね。中盤でコードが変わるささやかな展開も心憎いです。

 B1“THE MEMORY BREAK”はセクシーなシンセのメロと、やはり乾いたパーカッションが軽やかにドライブするナイストラック。キックとベースがドスを効かせています。空間的なシンセワークとの対比がよろしい。

 B2“COLLISION”。 ダブテクノ。モノトーンだけどその中で色彩が滲みながら変化していくような味わい。心地よい目眩。個人的には先の2曲のような乾いた音色が混ざると面白いんじゃないの、なんて思いますがそこは我慢。鳴りの整合性を無視することはできません。

 で、個人的に盛り上がったのが盤が薄っぺらい点です。いや、通常の盤の厚さなんです。けれども最近の新譜はどれも重量盤なんです。[INTERNATIONAL FEEL]しかり[SMALLTOWN SUPERSOUND]しかり。LPなんかほぼ全部重量盤だと思います。そこにきてこの薄さ。シカゴハウスの妙に値段が高い12インチがチェックしたらおもちゃみたいな薄っぺらい盤だったりして、「おい大丈夫かよ」なんて思いながら、でもなんかえも言われぬヤバさが醸されていたり…。

 そうしたポイントを狙ったようなあざとさは皆無なのですが、シングルって、なんかこう雑な感じがすると嬉しいです。アナログレコードなんて今や完全に趣味性の高い高級なコレクター商品だから、使う素材も高級になります。
 薄っぺらい盤というのは音楽が消費しても浪費してもいくらでも素晴らしいものや怪しいものが出てきた時代の牧歌的な代物なのかもしれません。雑なのが高級。うん。

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