『ヘンリー・ダーガー 非現実を生きる』という本を読んだ。15000ページもの小説と挿絵を制作しながらそれを発表せずに世を去った人、ヘンリー・ダーガー。
彼のことは非常に気になっていながらそれに関する本を読んだことがなかった。
今回読んで丹生谷貴志さんの評論が良かった。というよりためになった(?)。ダーガーの創作意欲がうちから湧いて出て来る表現欲求ではなくて、はじめから「この町=現世界」にいることができない人間が町以外の場所も求めることが出来なくて辿り着いた場所が創作で、排斥や矯正、異化取ったあらゆる圧力と拮抗するためだけに作品が存在する。
こうした作品は燃えたぎるような創作意欲の元に産み落とされるものだと勝手に思っていたのでこの視点は新鮮だった。
ゆえにこれはアウトサイダー・アートでもアート・ブリュットでもなんでもない。そんな生易しい代物ではない。いわばこれはヘンリー・ダーガーの呼吸や摂取、排泄の記録に他ならない。
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