2014年5月11日日曜日

『シグルイ』読んでた。

 『シグルイ』が文庫化されて現在第4集まで刊行されています。
"残酷無惨時代劇!!"


 この巻では仇討ちが認可され、二人の主人公、藤木と伊良子が激突する場面です。圧倒的なテンションの殺し合いが描かれています。"試合"ではなく"仇討ち"なので手加減がありません。鍔競り合いのままぐいぐい真剣を押し込み相手の手に刃が食い込む。痛そー。
 昨日偉そうに「イマジナリーラインを意識するとマンガがまた面白くなるよ」みたいなことをほざいたのですが、数十ページに亘る斬り合いのシーンでそれを意識することはなく、全く没頭しておりました。

 投げ飛ばした相手に斬り掛かろうとするも背後に藩の重臣がいることから攻撃を躊躇するシーンがあるのですが、そこで「くわっ(悔)!」と声が漏れそうでした。もうちょっとで勝てたのに!と。
 それからこの巻の前半部での、くるっと回って軽口を叩いたヤツの額に一発入れるシーンも痺れましたなぁ。

 『シグルイ』は03年から10年に『チャンピオンRED』に連載されていた江戸時代を舞台にしたマンガです。虎眼先生(...種ェ...)と言う近年稀に見るキャラクターはアスキーアートなどでご覧になった方も多いかもしれません。
※みんなそんなにAAが好きなわけではありません。

現代最重要コミック「シグルイ」
http://d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI/20070409

・残虐性も重要なファクターではあるが、この作品のすごいところは、その残虐性を生み出す封建社会と武士道の本質をきっちり理解しているところだ。偉そうな物言いだけど。そもそも民主主義の価値観が浸透した最近の日本では、なかなかリアルな封建社会の価値観を描いた作品に出会えない。

・「シグルイ」はヒューマニズムの匂いが恐ろしく薄い。現代的な価値観が痛快なほど通用しない。キャラクター達は見事に封建社会のルールに則って生きている。

 上記の指摘が非常に的確です。もう血はバーバー出るし目はえぐるし、臓物もぶちまけまくるマンガなのですが、それがこの作品の中の人物にとっては日常、とはいえないけど「起こりうることとして許容できるもの」なんですね。だから「こんな血腥い(ちなまぐさい)こと止めようぜ」という意見がいつまで経っても出てこない。その現代との価値観のズレを僕たちは狂気として受け止めているわけです。

 そういう僕たちからは到底理解できない価値観を舞台にして、けっこう"トンデモ"な技の応酬が繰り広げられるのですが、異常な説得力があります。これはひとえに作者の画力によるものです。
 完全に狂ったマンガとして笑いながら読むことも出来るし、まるでそこで見ているかのような臨場感に没頭することも出来ます。今日の僕は後者で、多分その方が面白いです。
 やっぱ、『アストロ球団』をシリアスに読めないですよ。

 と、いうことで『シグルイ』、かなり濃厚で面白いです。文庫版の場合単行本1冊以上のヴォリュームになり読んでいてしんどいので、正直コミックス版の方が心身の健康に良い気がします

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