2015年5月25日月曜日

白暮のクロニクル 設定年代になった。

ゆうきまさみ『白暮のクロニクル』を読んでます。5巻が出ていることに気付いたのが発売から3週間経過というあたり、僕もおっさんになったもにです。

不老不死の存在"オキナガ(息長)"のまつわるミステリー。で合ってますよね。美少年・雪村魁(88)とオキナガを管理する厚生省職員・伏木あかりが主人公。だいたい1巻でひとつの事件を扱う感じです。

『パトレイバー』など人気作品を世に送り出した大御所(ベテラン?)が描いていますので安定感が抜群です。安心して読めます。
僕が読んでいるとあるマンガが大風呂敷を広げに広げていまして、「これは諸要素、伏線を回収できないだろうな」と思っていたところ、久々に出た新刊でやたら観念的になってしまった…というようなことがありますのでやはり安定感というのは作品の大事な要素です。

ゆうき作品の特長である日常と非日常のシームレスな結合が今作においても上手く発揮されていると思います。
オキナガが10万人に1人くらいの割合で存在していること、一般にもその存在が知られていること、ただし誤解や偏見も含まれていることなど。作品中にはオキナガを収容する施設が出てきますがその存在感、雰囲気はハンセン病患者の施設を想起させます。「もし日本に不老長命の人々がいたらどう扱われるか、また一般人はどう思うか」というifを違和感なく描いています。
加えて所々に挿し込まれる登場人物の動作、所作の人間臭さや一笑を誘うジョークなどがリアリティを増幅させています。

フィクションを許すためにフィクションの周囲を丁寧に描くといったらよいでしょうか。フィクション以外の違和感がないからオキナガというフィクションがより際立っていると思います。
そういえば主人公の1人が公務員というのも上手いですね。

ストーリーは12年ごとに発生する女性を惨殺する未解決事件、通称"羊殺し"を軸に進行しています。羊殺しのことは今のところほぼ進展していません。6巻で出てくるか!?という予感はありますが。パトでは20巻以上をかけてひとつののエピソードを描いた作者ですから今後もねっとり話が進んでいくかもしれません。

それからクロニクル(年代記)というタイトルですからオキナガの歴史を掘り下げるといった点にも期待したいです。

0 件のコメント:

コメントを投稿