僕自身、廃墟に思いを巡らすということはこれまでありませんでした。
それが近所にプチ廃墟を見つけて思った以上に興奮しております。
ある施設の駐車場を探していました。これがえらく分かりにくい。施設から離れているうえに月極駐車場の番号札に施設の名前が貼り付けられているだけ、しかも通りから入ってきた側から見ると振り返らないとわからないという手の込みよう。
もちろん僕も迷い、同じ場所を何度も回っていました。通りから入って、さらにもう一本入る道を見た僕は「ああ、さてはこっちだな」とハンドルを切りました。
道路沿いに4軒、長屋状に並んだ店舗らしき跡。三つはシャッターが降りていましたが一つは半分開いており、ガラスの引き戸があって前面部はガラスだったことから店舗だったのだろうと推測できました。
二階は、おそらく住居用の間取り。磨りガラスの向こうに家具が見えました。
その4軒に妙に惹かれてしまい、施設への用も忘れて周囲を観察しました。裏へ回ろうとしましたが、塀と建物の間は網が置かれ通路を遮っていました。
建物の前は現在はゴミ収集の場所として使われているようでした。
まず、なんでこんなところに店舗があるのだろうという違和感を抱きました。国道の裏の通りから一本入って、さらにもう一本道を入らなければならない場所に4軒も店舗があることが不思議でなりません。
ほぼ毎日その前の通りを使っている僕も全くその存在を知りませんでした。
人が来るわけがないだろうと思いました。僕はここに越してきて間もないので昔のことは知らないのですが、現在とは道路を含めた地形が異なっていたのかもしれません。だからでしょうか長屋には住宅街のなかに取り残されたような風情がありました。
それから周囲とのコントラスト。国道が近いので「閑静」というほど静かではありません。しかし国道からここへは直接曲がって入ることができません。かなり入り込んだ場所に建っています。
動脈がごとく流れる国道の恩恵を全く受けられないひっそりした佇まい。今も「生きている」国道のすぐ脇に放置された「死」。そのコントラストが気色悪かったです。
それから今も取り壊されず残っている違和感。この建物の近くのパン屋は潰れて間もなく更地になりました。なぜここは残ったままなのだろう。固定資産税だかなんだかの兼ね合いはとりあえず置いといて。
史跡は現在も生きています。なんつったらいいかな。「史跡」として機能しているというか。それにひきかえあの商店の跡はそうした機能を持たずにそこにある。あるのに存在しない不気味さがあります。
まー取るに足らない廃屋でしたがこちら想像力を存分に刺激してくれました。
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