2018年5月12日土曜日

HOW TO KILL THE DJ [PART TWO]

DJの殺し方。そんな物騒かつニヒルなタイトルのミックスアルバムシリーズがあります。DJどころかシリーズさえぶっ殺してしまったのが『HOW TO KILL THE DJ [PART TWO]』。ていうか2弾で死んだのかよ、というツッコミも爽やかに。

ウォーホル『エルヴィス』のパロ?

グラスゴウの変態DJデュオ、オプティモ(OPTIMO)による2004年作。イヴァン・スマッジ(IVAN SMAGGHE)主宰[KILL THE DJ]から。

さっきシリーズごとぶっ殺した、と書きましたがほんとこの後に出したいDJはいないでしょうねえ...。たぶん[KILL~]からリリースがあるクロエ(CHLOE)あたりはこのあとに控えてたんじゃないかなと勝手に予想してます。数年後にリリースされたミックスシリーズ『LIVE AT ROBERT JOHNSON』ではクロエもイヴァンも出してますし(なんの証拠にもなりませんが)。で、クロエさんも「いやぁ、このあとはムリだわ」と思ったと。

というくらい狂気を孕んだ、ぶっ飛んだ内容になっています。オプティモが本作のあとにリリースされた『PSYCHE OUT』もドロッドロの狂気がグルーヴに混ざり込んだ迷ミックスですがこちらもスゴい。冒頭からファンカデリック~レイバッハ~ジョン・カーペンターですからね。字面で内容が全く伝わらない気がします(笑)
その後も執拗にジャンルを横断...でもないか?ボディミュージック&ディスコかなー
。ど名曲"LOS NINOS DEL PALQUE"なんかも容赦なく90秒くらいでガツンガツンとクイックに繋いでいきます。タイミングとBPMだけで強引に説得力を持たせるっつうか。
クランプス"NEW KIND OF KICK"以降は曲とジャンルがさらに解体されていきます。ヴィラロボス(RICARDO VILLALOBOS)"EASY LEE"とアート・オブ・ノイズ、スーサイド(!)とをマッシュアップ。ギャング・オブ・フォー、"GOOD VIBRATION"の少年合唱カバー、ガラージクラシック、ナース・ウィズ・ウーンドなどなど書けば書くほど伝わらないこの感じ!!!!!!
ドシャメシャなんだけどミックス自体は破綻しません。
AとBという2曲がミックスされるとA→AB→Bと曲が繋げられるんですけどAB→AC→Dみたいなつなぎばっかですからね(何言ってるか分かります?)。
時代的にマッシュアップが流行り始めてたのかもです(僕の体感としてはもうちょっとあとな気がしますが)。この作品はマッシュアップすら葬ってます。2004年の時点で。

こんなパーティならぜひ行きたい、けど実際こんなミックスやってたら忙しそうです。

狂気のクイックミックスとうってかわって一曲一曲を聞かせるdisc2も内容は濃厚です。曲はイイんですけど「こんなチョイスが出来る人達がdisc1を作ったのか」という恐怖が先行しますね(笑)

濃っ厚な音楽知識を圧縮して爆発させたようなミックスでした。こら確かにDJ死ぬわ。ちょっと話が飛びますがレイジ(アゲインスト~の方)のサードってやっぱものっそいテンションで聴いた誰しもが「この後はないな」と思って案の定解散したんですけど、それに近い感覚です。DJミックスの、"ひとつの"最高到達点と言えるのではないでしょうか。この後にシリーズ引き継ぎたくないですね。
中古価格の安さからも分かる通りついてこれなかった客も多かったのでしょう。

そしてこのドシャメシャ感と技術。個人的には強烈に憧れます。ジャンルと時代を超えてミックスできたときの知的興奮は何者にも変え難いです。

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