2019年5月13日月曜日

radio the mild20190513:ホアコ・エス。

HUERCO S.の『COLONIAL PATTERNS』の妙な格好良さに酔っています。

2013年も遠くなりにけり。リリースはOPNの[software]。個人的には新作と接点があった最晩年です。

ヴェイパーウェイヴには全く乗れなかったワタシです。シーパンクもダメだった。出来損ないにしか聞こえなかった。出来損ないっぷりで言えば初期のシカゴハウスの方がよっぽどひどいのですがヴェイパーウェイヴには閉塞感がたっぷりあって、僕はそれを受け止めるのがしんどかったです。

ポストインターネット、つまりインターネットが日常化した世界。どんな言葉を入力してもそれなりに結果が出てきてしまう世界。入力した語に誤りがあってもそれなりに直して下さる世界。それはイレギュラーが発生しない世界でもあります。
どこまで行っても既視感に苛まれ、自分が発見した、と思うようなことでもすでにアーカイヴ化が終わっている。

完成した瞬間にアーカイヴ化されてしまう世界にあって唯一残された興奮は"出来上がる"寸前だけだったと仮定するなら、ヴェイパーウェイヴの未完成感にも納得できます。あれがもっと完成度を上げたらその瞬間にアンビエントミュージックに回収されてしまう。アンビエントの心地よさを拒否してなんだかよくわからないままにしてしまおうとする試みがヴェイパーウェイヴなのかもしれません。

と、ここまで書いてこのアルバム全然ヴェイパーウェイヴじゃないんですけどね。ベーチャンとデトロイトハウスのアマルガムで容赦のない"展開のなさ"がクールです。でもアルバムに横溢するくぐもったノイズがどうも価値の固定を拒否しているように聞こえます。

すごく享楽的なのですが、そこに罠がありそう。ジャケットも含めて素晴らしい作品です。

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