2021年3月30日火曜日

 報道ステーションのコマーシャル動画がパッパラパーで非難を集めた。おおかたでかい広告代理店が絡んでいるんだろう。報道番組のスタッフもその広告を作るスタッフも教養が欠落している。


じゃあ自分に教養があるかというと自信がない。ただ、まともな感覚を最低限持ち合わせている自負はある。そして放送業界のメインストリームにはもうそれがない。


以前、何かで読んだ橋下徹氏への評価で「リテラシーがない、ドストエフスキーがなくてもなんとも思わない」みたいなものがあって、なるほどと思った。今のギョーカイには『地下生活者の手記』を読んだ人間も少ないだろうし、それのリンクするような経路もない。腕組みした著者が偉そうな顔をした写真が表紙のビジネス書しか読んでいないのだろう。(そのうち古典の表紙も著者の偉そうな写真になるかもしれない。)


最近の「正しい読書」とは有益なアウトプットを行うことを指す。『100円儲ける方法』という本があれば、70円くらい儲かるのが現在の正しい読書だ。そういうクソ安いリターンを得ることが読書の正しい姿になっている。世の趨勢というやつだ。


『地下生活者の手記』は利益に繋がりそうな何かは一切ない。ただ、アホみたいな広告を「アホみたいだな」と思う感覚が身につくかもしれない。そしてそれは、現代では必要とされていない。

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