2022年1月27日木曜日

パン屋に行くのを諦める日記

 ルシア・ベルリンを読んでいて、私もこんな感じで書けないかと思ったが甘かった。ただ日記がダラダラ続くだけだぞこれ。

けどまあ思ったより楽しいぞこれは。案外なんちゃってブコウスキーみたいなのが性に合っているのかも。私はカッコつけたがりだしね。ということで以下ダラダラ日記


平日の休日。妻や子が家を出る音を布団の中で聞く。


社長が50億の借金をこしらえて行方をくらましたパン屋。社長の娘婿が店を再開させた。初日は行列が出来た。再開二日目の今日は空いているだろうか。


私は冷蔵庫に入っていたエナジードリンクを飲んだ。間もなく11時になろうとしている。今日はパン屋でスイートポテトを買う。息子の好物だ。それから電車で一駅、『波よ聞いてくれ』を買う。ジッポのフリントも買わなければならない。ゲームソフトもだ。


気付けば上から下までユニクロユニクロ、ユニクロだ。ユニクロだけで一週間行けるだろう。洋服を買うのは割と好きだったはずだが。

マーチンの8ホールを履いて行こうと決めた。たまに履いておかないと足がヤワになりそうだからだ。元々の白はすっかりくすんで黄色がかっている。若くなくなった今となってはおとなしく黒かチェリーレッドにしておけばよかったと思う。黒いパンツの裾を二回巻けば草臥れた白いマーチンも様になる。


間もなく2月。日中も空気に冷たさが宿る。スニーカーより固い踵の感触が足取りに心地よいリズムを与える。国道沿いを駅に向かって歩いた。🚶‍♂️自転車屋がある角を曲がり住宅街を大股で進む。通りがかる神社で賽銭を投げる。これといった願いもないので今日は挨拶だけだと神様に告げる。


はたしてパン屋は行列を作っていた。パン屋でコロナウイルスのクラスタが生まれる日も近い。木曜でこれだから今週末はずっとこんな調子なのかもしれない。パンを、買う、ために、行列に、並ぶ。私はスイートポテトを早々に諦めて切符を買って缶ビールも買った。少しいい缶ビールにしておいた。昼間っからやっすいチューハイを買ってしまったら、それはガチだろう。私は友人を思い出した。コロナ禍下でやることがなくなって酒を飲んで散歩をしていた友。彼が散歩の供にしていたのがストロング系の缶チューハイだった。


本厚木は20年前の活気は失われたが駅前の大きい本屋は残っている。駅前でローカルテレビ局のリポートをやっていた。ゲームソフトは明日発売で今日は買えなそうだ。CDだったら前日に買えるので期待していたが空振りだ。


私はすぐに気持ちを飲酒に切りかえた。最近できたタップルームでビールの飲み比べを注文した。駅前の人の移動を肴に、あるいは車の往来を眺めて普段よりゆっくり飲んだ。新たにできた店なのでその宣伝ために撮影が行われていた。どこでも撮影だ。


娘が食べたがっていたカステラのことを思い出した。『波よ聞いてくれ』も忘れていない。コンビニでジッポのフリントも買った。調子はいい。


用が済んだのでとっとと帰ることにした。未だに17:00までに帰ろうとする意識がどこかにある。小学生時代のルールが体の隅にこびり付いている。


再開したパン屋は店を閉めていた。様子を見に来たおっさんが貼り紙を見て軽バンに乗り込んだ。貼り紙は15:00に再び営業すると伝えていた。待てない時間ではないが、パンを買うために待つことが理解できないので帰った。

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