2022年1月29日土曜日

ハードボイルド

 私のようなハードボイルドなボキャブラリでもって日常をスケッチする上でスマホをぱちぱちいじることをどう書くかが問題になる。


ブコウスキーが書く情景には隙間がある。書かれた対象と筆者の視点、この間の距離がかっこいいのだ。怜悧な、あるいはクールな、ドライな。ルシア・ベルリンはさらにドライで「この人は自分の作品を読み返さなそうだ」と思わせる。彼女に比べればブコウスキーはロマンチックだ。あとは、ヘミングウェイとか、と文芸論を打ちあげたいがヘミングウェイを読んだのなんてはるか昔で覚えていない。


そういう先達がタバコを吸って酒を飲む姿を書いたことでそれらの動作はクールだとされるにいたった。元からクールだったわけではない。彼らがが描き出したことでその動作に人々は意味と感情を感じ取ることができるようになったのだ。


スマホをいじる姿は果たしてかっこいいのか。私はかっこ悪いと思っている。それは想像力の欠如だ。ブコウスキーやベルリンがスマホをいじっている姿が想像できないにすぎない。


私はスマートフォンを扱う姿を書かなければならない。なんなら可愛い女の子が出てくるゲームをやっているその姿を書くのだ。

考えた末、『ウマ娘』(:2020年代初頭に流行したスマートフォンでプレイするゲーム。競走馬と同名の少女が登場する)をアンインストールした。そうすれば私がウマ娘をプレイする描写を書く必要はなくなる。私は物書きの鑑だ。

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