2023年10月11日水曜日

 

“子ども放置禁止”条例案 取り下げる方針 自民党県議団 埼玉

小学3年生以下の子どもを自宅に残したしたまま保護者が外出することなど放置を禁止する虐待禁止条例の一部改正案を埼玉県議会に提出した自民党県議団は「県民はもとより全国的に不安と心配の声が広がった」などとして改正案を取り下げることを明らかにしました。

 TBSラジオで"おっさん政治"と言っていましたが、なかなかうまいことを言いよると思いました。それはそれとして。
 私が今回のこの記事とか「親学」に感じるのは「あの頃に戻ろう」という意志です。もうちょっというと「可視化されたことによる狼狽」もある。

 なんのこっちゃと訝しむ向きもあるかと思います。繙いていきます。基本的に政治家になる人たちの学歴って高いですよね。それから世襲議員なんて言葉もあるくらいで実家が太い人が多いんです。もちろんいい学校に行け、勉強しろと詰められた議員さんもいらっしゃるだろうから幸せだったかというとそこは意見が分かれるでしょうけれど、ひもじい思いをせずに過ごしてきた方が多いのではないかなと思います。

 そんな彼らが政治家に就任して目の当たりのしたのが貧困や数々のクレームだったろうと思われます。『ギャングース』に描かれているようなにっちもさっちも行かないような貧しさを、政治家になって初めて知ったのではないかと。

 それから回転寿司で醤油さし舐めたりだとか、トー横キッズだとか、陰湿ないじめだとか。あるいは消防署員がコンビニ行ったら文句言うSNSとか。知らなかった=可視化されていなかったものがSNSを通じて明らかになってしまった。たぶんなんですけど昔の方が少年犯罪もいじめも貧困も不潔もあからさまだったと思うんですよね。ただ見えなかった。実家が太い政治家先生だったら尚更のことです。

 貧困や不潔や不道徳が突如として大発生したという勘違いによる危機感が"おっさん政治"にはあります。それを是正するために講じたのが「"あの頃"に戻ろう」という動きです。あの頃は具体的な年代を特定するものではありません。強いていえば自分が子供の頃に戻ろうといったところです。もっといってしまうと政治家先生が幼く何も知らなかった頃に戻りたいと言う願望なのかもしれません。

 いうたら今回のうぜえ法案って善意なんですよね。だからバッシングされることになっとくできないから撤回まではしないわけです。しかし残念なことに過去に戻ることはできません。しかも目指している"過去、あの頃"は完全な幻影なのです。そして平成の間に過去と現在はすっかり断絶されてしまいました。ゆえに目指すべきは未来への指向なんですが、なかなかその視線は持ち得ないわけです。

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