2014年4月1日火曜日

PANORAM 『EVERYONE IS A DOOR』

 昨日書いた調査捕鯨の判決が出ました。南極海での調査捕鯨は中止せよという判決でした。僕はなんとなく日本側の勝利(?)に終わるのでは、と思っていたので少し意外だという印象を受けました。ただ、ニュースを見る限りでは「南極海での」捕鯨を中止する命令のため、太平洋での調査捕鯨は続行されるようです。これも中止まで時間の問題かもしれません。
 この辺は時代の趨勢を感じます。禁煙・嫌煙ムードと大した差はないでしょう。時代の気分です。生体数とか、実はそんなに関係ない。



 DJ HARVEYの『XMIX』の冒頭を飾ったことで注目を集めたPANORAMによるファーストアルバムです。リリースは[FIRECRACKER]から。先日VAKULAのファーストアルバムもリリースしたレーベルですね。

 未だにアーティストの詳細がわからないままです。ここで全曲試聴できます

 聴いた感触を文字にすれば"乙女の柔肌のような"。そんな詩的な表現が思わず口をつく滑らかなメロディです。特にA面での少しレトロでチープな音色が"あどけなさ"を感じさせ、それゆえ「乙女の」、というイメージが思い浮かんだのかもしれません。

 なかなか噛み砕けない作品です。イントロから冒頭曲に至る流れではそれこそ柔らかなメロディが織りなす甘美なダウンテンポが楽しめますが、短いインタールードなどを挟んだA面はどちらかというと散漫な印象を与えます。
 CLARK(CHRIS CLARK)を思い出させるメロディからもわかるようにエレクトロニカ、IDM、また当世風のヴェイパーウェイヴ的な意匠もあるのですが(全く余談だが、個人的にヴェイパーウェイヴと呼ばれる作品の殆どに"出来損ない"以上の印象を持つことが出来ない)。ONEOHTRIX POINT NEVERの作風にも近いものがある。しかしそういった断片が何かしら形作る前に姿が霞んでいってしまうといえばいいでしょうか。
 メロディもビートもくっきりしていますがそれとは関係なく「音楽が始まる前に終わる」というような気がします。甘美な瞬間はいくらでもあるのです。がしかし。

 自分の耳が着地点を見出せないままA面からB面に行きます。ここでグッと焦点が定まってきます。B1の麗しいエレクトロニカ・ブレイクビーツに耳がそばだちます。そこからB2のシンプルなピアノ小品が素晴らしいです。乙女の柔肌だった印象は次第にジェントルなセクシーさに変わってきます。夜にしっとりと寄り添うサウンドトラック、微睡むチルアウト。優雅に、少しずつ暗い海に沈み込んでいくような。やや歪んだメロディはBOARDS OF CANADAでしょうか。
(B2"1212121212"は見つからず)


 HARVEYのミックス採用の流れでアルバムもサイケ成分もりもりになるだろうと勝手に期待しておりましたが、その期待は肩透かしとなりました。正直その勝手な期待のせいでまだこのアルバムの真価は見えていません。ゆるゆる聴き続けたい、そういう懐の深さはありそうです。

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