R・センはパデッド・セル(PADDED CELL)というユニットで活動したり、また[MIXED BLOOD CUTS]というシリーズ(レーベル名でもある)を主宰するなどしています。いずれもニューディスコによった作風です。MIXED〜はディスコダブ、リエディット好きにドンズバなキラーなロッキンディスコシリーズで僕も大好物であります。
また[ZE]のリミックスアルバムはじめいろんなところに出没、最近では'87-'91UK産のアシッドハウスをコンパイルした『THIS AIN'T CHICAGO : THE UNDERGROUND SOUND OF UK HOUSE & ACID 1987-1991』を監修し話題を集めました。
今もなおディスコリバイバルの重要人物と言えるでしょう。何か関連作がリリースされた時は試聴しておいて間違いない存在です。
A2ブレイクビーツなドラムとエキゾチックなメロディが絡むミステリアスなトラック。 A3ハンドクラップとシンセアルペジオで押すリスニングトラック。 A面はビートがあり、エレクトロファンクでブレイクビーツなわけですが、それらの音はダンスミュージックを指向していません。ここ、けっこうポイントです。 B1"2000 LYSAR FRA MORELLVEIEN"はワウベースがサイケな香りを醸します。 ギターが絡み次第に音数は増えていきますが地味な展開です。長いけどインタールードな曲といえるかもしれません。派手に展開しない分、繋ぐときには重宝するかも(それは僕の腕前基準での話ですが)。ZERO SET IIのリエディットの雰囲気に近いですね。
不穏なサイレン音から始まる本作は一般的なダンスミュージックの音のバランスから幾分ズレた、マッドで地下臭ムンムンのサウンドに仕上がっています。チープな言い方になってしまいますが、<ダンスミュージックにおけるハードコアパンク>を地で行っている音です。
それは「ラヴソングを歌え」というボイスサンプルを執拗にループさせながら渦を巻くような音響をまき散らす"SING A LOVE SONG"などに顕著です。
B3のアウトロで熱狂の余韻を心地良く鎮めながら静かに始まるC1"JOHNNY AND MARY"。ブライアン・フェリーがヴォーカルです。この展開には思わずため息が漏れます。エンディングに持って来ても映えそうな味わい深いカバー曲をここに置くことでアルバムの場面転換が非常に上手くなされています。この後にテイストをがらっと変えたジャズロック調のC2が来るのですがアルバムの流れは不思議と調和がとれています。
話を"NAVIGATOR"に戻します。「WRITTEN BY : RUPERT HINE/DAVID MACIVER/TREVOR MORAIS/JOHN PERRY MARK WARNER.」とあり、次の行には「PUBLISHED BY : CHRYSALIS MUSIC LIMITED (C) 1979.」とあります。検索してみるとQUANTUM JUMPの"CAPTAIN BOOGALOO"と"THE LONE RANGER"のヴォーカルをサンプリングしていました。
なんだかマメね、と思いましたが(助かりますが)、流通がユニバーサル・ノルウェイなので「その辺クリアにしとけや」というお達しがあったかもしれません。
CLARK(CHRIS CLARK)を思い出させるメロディからもわかるようにエレクトロニカ、IDM、また当世風のヴェイパーウェイヴ的な意匠もあるのですが(全く余談だが、個人的にヴェイパーウェイヴと呼ばれる作品の殆どに"出来損ない"以上の印象を持つことが出来ない)。ONEOHTRIX POINT NEVERの作風にも近いものがある。しかしそういった断片が何かしら形作る前に姿が霞んでいってしまうといえばいいでしょうか。
自分の耳が着地点を見出せないままA面からB面に行きます。ここでグッと焦点が定まってきます。B1の麗しいエレクトロニカ・ブレイクビーツに耳がそばだちます。そこからB2のシンプルなピアノ小品が素晴らしいです。乙女の柔肌だった印象は次第にジェントルなセクシーさに変わってきます。夜にしっとりと寄り添うサウンドトラック、微睡むチルアウト。優雅に、少しずつ暗い海に沈み込んでいくような。やや歪んだメロディはBOARDS OF CANADAでしょうか。
B1 ポストパンクを感じさせるベースラインがループしグイグイ押してくるニューウェイヴディスコチューン。"ハッハッハッハー"という女性の叫び声、パーカッションもどこか[ZE]っぽい雰囲気です。「3RD FACEによる'04年傑作"CANTO DELLA LIBERTA"やOOIOOの作品で使われてきたのと同じあの某イタリア産サントラ音源をネタに用いながら(http://lighthouserecords.jp/?pid=67364878)」ということなので有名なネタなのでしょうか。