2014年4月3日木曜日

PRINS THOMAS 『PRINS THOMAS 2』

 昨日FRANKIE KNUCKLESが亡くなられたそうです。僕の好きな音楽の礎を築いた人の早いお別れ。冥福をお祈りします。

 ノルディック・ディスコ。RUNE LINDBARK、BJORN TORSKEやMUNGOLIAN JET SET(DJ STRANGE FRUIT)、LINDSTROMなどなど。
 最近最も勢いのあるのはTODD TERJEでしょうか。[SMALLTOWN SUPERSOUND]から、のち[OLSEN(TODD TERJE自身のレーベル)]から再発された「IT'S THE ALPS EP」は累計で1万枚以上売り上げたそうです(日本のとあるディストリビューターから聞いた話)。300-500枚限定プレス、という12インチが多い中でこの数字は破格です。

 今回はTODD TERJEではないです。


 
 ROYKSOPPなどにも感じられる可愛らしくドリーミィなメロディやプログレ、サイケデリック・ロックからの影響、ディスコNOTディスコなスタイルなどディスコダブ-NU DISCOシーンの形成に多大な影響を与えている北欧ディスコサウンドの重要人物PRINS THOMASのセカンドアルバム。


 リリースは彼自身のレーベル[FULL PUPP]からです。PRINS THOMASはこの界隈でもロックテイストが強いのが特長で『ZERO SET II』のリエディットなどにそのスタイルは顕著です。また『COSMO GALACTIC PRISM』や『COSMANOVA IV』などでは一般的なディスコの範疇から大いに逸脱した素晴らしいミックスアルバムを発表しています。



 セルフタイトルであるファーストアルバムでもサイケデリック・ロックやニューエイジなどの空気感を充満したダンスミュージックから程よく距離ををとったサイケデリックでヒプノティックなアルバムです。密林系っす。

 たいしてこの『2』はダンスミュージックに寄った作品といえるでしょう。まず、BPMがハウシーです(こんな日本語表現て)。110-120付近、ディスコでは王道のピッチです。

 B1にしてハイライト、"BOBLE TEKNO"はツッタカツッタカ言わしてるマーチングドラム的なスネアがPLASTIKMANのクラシック"SPASTIK"を思い出させます。PRINS THOMASはそこにロックでミニマルなベースラインと美しいフレーズを重ねていきます。"SPASTIK"はフリークアウトですが"BOBLE TEKNO"は<寸止め系>かしら。
 アルバムには同曲のバージョン違いも収録されておりそちらはメロディを排してトバし系のエフェクトを散りばめたマッド仕様です。これら曲や"FLAU PAPPADANS"などはPT流のミニマルテクノといった趣きで、これまでの作風にはそこまで目立っていなかった要素といえるでしょう。

 美しいメロディといえばA1"SYMFONISK"も白眉です。ストリングスが優雅に舞う、どこか牧歌的な雰囲気も漂うディスコトラック。ビートもベースも入っているが、その分「曲の進行方向」がはっきりしているのでゆったりとした気分になります。アンビエント解釈も可能、冒頭曲ながらパーティの締めくくりにかかって欲しい類いの名曲でございます。
"SYMFONISK"


 メロディがなく、ドラムとパーカッションでドライヴするサイケデリック・エスノトラックC1"BOM BOM"はピーク前にフロアのテンションをぐいっと上げてくれそうなグルーヴ・チューン。個人的には大好物ですわ。メロディがないので繫ぎやすいでしょうし(ド素人の感想)。

 ブラスのフレーズとボイスサンプルがファニーな印象を与えるD1"TJUKKOAS PA  KARUSSEL(カタカナ化できねぇ)"もループの中にユーモアと狂気をたたえたトラックといえるでしょう。ハイライトとは言いませんが、PTの魅力がじわりと滲んできます。


 ディスコに端を発するハウス、テクノのダンスミュージックとしての機能性に着目し、そこからもたらされる陶酔感をキャッチして曲に仕上げた職人の手腕が素晴らしいです。またベースラインのそこかしこに"ロックぽさ"を残しているため、サイケロック好きなボンクラ諸兄にもオススメ出来るアルバムです。
 PRINS THOMAS、はじめの一歩はファーストよりこちらかと。

 余談ですがDLできるボートラ2曲がまたいい。これが別の12"になってるわけで。うわぁ。

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