2015年10月26日月曜日

COMPUMA feat. 竹久圏『SOMETHING IN THE AIR the soul of quiet light and shadow layer』


 以前、こちらのリリースに関して少し書きましたが、入手が遅れてました。自分へのご褒美を兼ねてやっと買いましたよ。

 コンピューマ(COMPUMA)初となるソロ作品。
 京都で150年続く老舗茶問屋「宇治香園」の創業150年を記念した作品とのことで、当初はミックスやコンピレーションの予定だったものが茶畑に想像力を喚起された結果、KIRIHITOの竹久圏まで巻き込んだウルトラメディテーティヴな作品になったということらしいです。


 ギターの柔らかいタッチと茶園や茶工場でのフィールドレコーディング、電子音が絡み合ったりほどけ合ったりする42分。早朝の茶園の情景が浮かんでくるような優しさとその影に潜むビザールで濃厚な音の感触が楽しいアンビエントミュージック。時間がゆったりと流れる。

 多分これ、ふゎーっと「なんとなくかけておく」のもアリだと思います。エレクトロニカのような人懐っこさがあります。部屋の窓を開け、たなびくカーテンを眺めなたり、あるいは本を読みながらこれをかけておいたら、それはなかなか良い空間です。

 一方で目を閉じて思いっきり聴いても良いです。聴くと実は結構"テンションの高い"アルバムであることに気付きます。
 例えば、和んだギターと電子音が耳をくすぐりながら次第に緊張感をはらんだギターの音へ移り、そしてフィールドレコーディングと電子音が織りなすディープなアンビエンスが展開されるトラック3-4-5の流れは聞き流すことが難しい、知らず識らずのうちに音の作り出す深い森に迷い込むような錯覚を覚えます。

 それぞれのサウンドが演出するみずみずしさと、その底でとぐろを巻くある種の暗さ、音響の迫力とのコントラストが土手っ腹にずしんとくる感じ。それがそのまま聞き流す時の心地良さと耳をすませた時のメディテーション機能につながっていると思います。多層的っつうか、川の流れは水面と底で違うぞっつうか。
 ただのカフェミュージックにあらず、というより喫茶音楽にしようとしたら妄想が独り歩きし始めてどんどんディープになっていってしまった凄みのあるやっちまった感。

 クリス・ワトソンの『EL TREN FANTASMA』のようなソウルが宿っているかもしれません。

長いですが、以下セルフライナーノーツ。ていうかこれがあれば上の文章がいらないんじゃないか、という気もします。
セルフライナーノーツ
ちょうど1年ほど前に、宇治香園 小嶋宏一さんから声をかけていただいた事から始まったこのプロジェクト。京都の老舗・茶問屋、宇治香園さんの創業150年を記念してのノベルティ制作の依頼で、当初は選曲を中心にしたコンピレーションやミックスCDをイメージしてのスタートだったのだが、小嶋さんと話を進めていく中で、実際に山間の茶園へ連れて行っていただき、実際に見学させていただいたりする中で、どんどんと小嶋さんとのやりとりの中で妄想と構想が深化し広がっていきまして、遂にはオリジナルの音源を作ってみましょう!というところにまで発展して、今回のこの作品の完成に至りました。
小嶋さんから、ぜひとも見てほしいと、まず最初に連れて行ってもらった茶園というのがとにかく衝撃で、通常、誰もがイメージするであろう、段々畑広がる的な、のどかな茶畑風景とはまったく違った、標高の高い山の奥の奥、深い深い森の中、高い高い杉の林に囲まれた中にひっそりと佇み、靄の中、うっすらと深い緑の光と影のレイヤーが何層にも重なり広がる、それは、もう、なんとも神秘的で、何か特別な空気を放っているようでした。そして、この茶園との出会いが、今回の作品を作る上で大きなインスピレーションの源となりました。
それから何度か、この茶園を訪れて、この場所の空気感までをも封じ込めれるようにフィールドレコーディングや演奏を試行錯誤しながらトライ録音して、それらの音源を基に、新たな演奏や、加工、編集、ミックスを施して、あの場所の空気感や気配までもを感じれるような事を目指して、お茶の葉をめぐる自然、人との関わり、様々な想いと調和をテーマに作品の完成を目指しました。
今作は、いわゆる一曲ごとに楽曲が分かりやすく分かれた作品ではありませんが、様々な自然音とギターを中心とした演奏などが自由な感覚で重なり繋がり、イマジナリーな風景がめくるめく広がっていき、いつのまにかストーリーテリングされているかのような、メディテーショナルな42分ほどの茶園に捧げられた叙事詩、レクイエムとなっております。
この作品を制作するにあたり、共に、実際に茶畑に足を運び、すべてのギターを演奏してくれた竹久圏さんはもちろん、録音スタジオ作業にマスタリングまで手掛けてくれたナイスマンなあつい男、ハッチ君、&美味しい珈琲でのおもてなしの奥様、アートワークを手掛けてくれた五木田智央さん、写真家・塩田正幸さん、デザイナー鈴木聖さん、スタジオ使用、機材のレンタルでお世話になったフォレストリミット・ナパーム片岡さん、リキッドルーム三船さん&スタッフの皆さん、9月に行われるイベントをコーディネートしてくれている永江 大さん、そして今回このような機会をいただいた宇治香園・小嶋宏一さん、素敵なおもてなしをしていただいた奥様に娘さん、スタッフの皆さんに深く感謝いたします。そして、いつも応援してくれる愛すべき家族、友人のみんなに心から感謝の気持ちを伝えたいです。ありがとう!!!
2015年 8月 COMPUMA

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