ダブステップという言葉が生まれてすぐに他ジャンルとの混交が始まったように思われます。「今後はダブステップというのはジャンルそのものを指すのではなく、手法等を言うようになるだろう」と先輩も仰っておりました。
この曲に関してはダブステップの典型的なビートは見られず、<Ostgut-Ton>の音に近い、コンクリートテクノです。
不穏なストリングスが空間を圧迫し、女声とビートが頼りなく進行する。
私はこの曲の暗澹たる空気に、「時代の空気」を感じずにいられません。過去にも時代の空気を吸い込んだ楽曲というのはリリースされています。そう言った曲は、たとえ当時の流行下の音だとしても不思議な魅力があります。似た音の作品が古びていく中、鈍い輝きを発していく、そんな楽曲が時折あるものです。
私はこの曲を「聴かずにはいられない」という感触でもって接しています。異常な魅力をたたえています。クールですが、感じ取れる風景は圧倒的に敗北的な風景。リヴァーブのかかったパーカッションに後ろ指を指されているような、暗い空気です。それでも魅力的なサウンドスケープです。
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